【成功は視野を狭める】
ジャンル：引籠りが俺tueeeした話
人は成功体験をすると、その成功をソースに同じパターンで次の課題に取り組みます。本作では、利己的な合理判断と、ある種の無謀さで成功体験を得てしまった男を奉った集団の顛末を描きます。当然、この対局に博愛の精神が描かれますが、危機的状況においては、生存戦略として利己主義を踏襲する人が多いでしょう。おそらく私もそうです。ただ、人間とは集団を形成することで難局を生き延びてきた種族ですから、本来あるべき姿勢がどちらかと問われれば、迷うべくもない命題なのです。
結末手前までは、”失敗の科学”に記されていたカルト宗教の事例を踏襲した展開になるのだと予想していたのですが、まさに井の中の蛙。他国の存在・状況が明示されないため、霧がかった部分は拭えませんが、救われるべく人物に対して後味の悪い帰結にしなかった点は、とてもキリスト教的展開であるように感じました。
余談
期せずして現実に通ずる災害が発生しており、作中で描かれる渦中のシーンから、このような体験をした人が現実にもいることを思うと、胸が締め付けられる気分でした。
体験を伴わない言葉を連ねることしかできませんが、被災された方に一刻も早く日常が戻りますように。
余談その２
ギリギリ目を覆わずにいられましたが、序盤のゴキブリのシーンが終始メタファーになっていて、それが秀逸でありつつも展開が予測できてしまいました。映画を作るのって難しいですね。
