ヒノモト

キエフ裁判のヒノモトのレビュー・感想・評価

キエフ裁判(2022年製作の映画)
3.8
セルゲイ・ロズニツァ監督最新作。
同時公開につき、続けて鑑賞。
連続投稿失礼します。

1946年1月、キエフにて行われたドイツ軍関係者15名が人道に対する罪で裁かれる裁判の模様を収めた記録映像を映画化した作品。

「東京裁判」などの裁判映画と同様に、淡々と罪状に対する被告人弁論や、目撃者による証言が続く内容ですが、過去作「バビ・ヤール」で描かれたユダヤ人大量虐殺の生存者の証言もあり、一部内容が被る部分もありますが、ドイツ軍からすれば、当時のウクライナに多く住むユダヤ人を危険視し、それを根絶やしにすることが国にとっての正義であり、そういうう命令思想に沿って行われた行為である主張、そのものが戦争という愚かな行為の元凶であり、脅威や恐怖に対して、武力で行使する選択という思考が、敗戦によって裁かれることは、その正義の否定であることが、国に立場によって変わってしまう戦争という結果の処理が端的に描かれ、裁判記録である以上に、その場所の臨場感に溢れた映画になっていました。

映画的には「バビ・ヤール」の方が好みではありますが、戦争というものを現代から見て大局で捉えること、正義というもの定義が変わってしまう戦争という現場の恐ろしさを冷静に映画として表現されていて、この時期に見る映画としては良かったと思います。
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