シネラー

エクソシスト 信じる者のシネラーのレビュー・感想・評価

エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)
3.5
公開から暫く経って終映も近かったが、
ようやく劇場鑑賞。
本国での評価が芳しくなくて
心配なところではあったが、
第1作からのリスペクトが強い
正統派の悪魔祓い映画で面白かった。

森で失踪した3日後に発見された
少女アンジェラとその友人キャサリン
に悪魔が取り憑き、
彼女達の家族が悪魔祓いを行い
悪魔と対峙する内容となっているが、
全編通して信じる事へのテーマが
描かれていて良いと思った。
単純な宗教への信仰心だけじゃなく、
人が人を信じる事への繋がりが
フォーカスされていて、
家族ドラマに好き嫌いはあると思うが
個人的には好感触だった。
アンジェラの父親が宗教等に
懐疑的な主人公となっており、
その宗教家でない点が個人的に
共感し易くて良かった。
冒頭から二者択一の命が描かれ、
そこから同様に悪魔が二人に
取り憑いている事での選択を迫る展開は、
二人に取り憑いた状況ならではの
残酷な選択だと思った。
そこでの両者共に椅子に括られての
ビジュアルやメイクに演技は、
とてもシリーズらしさを感じる部分だった。

しかしながら、
第1作のリーガンの母親が
再登場して嬉しい反面、
その活躍が薄いのは残念だった。
又、アンジェラとキャサリンの
友人関係の描写が少ない為、
いまいち二人が取り憑かれた上での
悲劇性が今一つ感じられなかった。
悪魔に取り憑かれた描写に関しても、
第1作のリーガンと比べて
倫理的に大きく逸脱している印象が
弱いと思えてしまった。
加えて、二人の奇行が悪魔によるものと
早めに疑われている印象もあり、
そこは第1作同様にじっくり
医療的描写もあって良いように思えた。
肝心の悪魔祓い場面にしても、
神父抜きの素人で行うのは展開として
面白いと思いつつ、
序盤で僅かに登場した別宗教の
祈祷師も参加するのには違和感ある
ところだった。
怖い場面というよりも驚かす
ジャンプスケアが多用されており、
冒頭からその印象が始まるだけに
悪印象な部分だった。

王道なエクソシスト映画であり、
それでいてシリーズの第1作と関連は
ありつつもリブート第1作という印象で
観やすい最新作で良かった。
三部作の序章となる作品で確かに
苦い結末で人物としても描く余地があったが、
あと二作も続けるのかは疑問だ。
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