マーフィー

青春ジャック止められるか、俺たちを2のマーフィーのレビュー・感想・評価

4.3
2024/03/23鑑賞。
井上淳一監督、井浦新さん、芋生悠さん、杉田雷麟さんの舞台挨拶付き。

井浦新と芋生悠を生で見たかったことから劇場に行ったので、
若松孝二監督や若松プロのこと、シネマスコーレの歴史など何も知らずに見た。
ストーリーは何となく見てたけど、実話を基にしてることすら知らないクソっぷりでした。すみません。
それでも楽しめた。めっちゃよかった。
超絶一級品の群像劇。


同じ井上純一脚本ということから、
井浦新はもちろんのこと、東出昌大、コムアイのコンビ、杉田雷麟、田中麗奈と、
『福田村事件』のキャストが続々と登場。

井浦新の演技は、個人的には『こちらあみ子』や『福田村事件』がとても印象的で、とても好きな俳優だと思っていたけど、
これまた全然違う演技を見れてすごくよかった。
若松孝二の個性的でどこか愛らしいところや、
井上を怒鳴りつけながらも気にかけて愛で包み込むような、
人間的な魅力がすごく伝わってくる。


コムアイ相変わらずめちゃくちゃいいな。
『福田村事件』で化けてたけど、今回もすごかった。
少ない出番でがっつり爪痕を残す何とも言えない魅力がある。

芋生悠演じる金本もすごくよかった。
分かりやすく鬱屈としてるシーンや打ちひしがれるシーンはもちろんのこと、
井上の人生の転機を受付から全て見ている金本とか、
焼肉店で肉の世話をずっとしてる金本の、何気ないけど三重苦のひとつを強いられているところとか
撮影現場に見学に行った時、井上にほぼ毎回ぶつかられる金本とか
一見メインのシーンじゃないところに存在する金本からも
「金本にはこの光景どう映ってんのー!?」と思わせる表情がとてつもなくいい。



「絶望すら満足にできない」というのはとてもよく分かる。
何者でもない、でも決して表現のネタになるほどの境遇も不幸もなく、芸術にぶつけるほどの怒りもない。
SNSに批評家気取りでレビューを投稿することで満足感を得て
わずかにつくいいねを承認欲求の拠り所にすることができるだけ、私は当時の井上青年よりも恵まれているかもしれない。
うだつの上がらなかった井上青年は、
私が自分を重ねたのがおこがましいぐらい、間違いなく何者かになっている人で、
それでいてこの映画に出てくる井上青年の面影を感じる、皆に愛される方になっていた。
これ以上は私が死んでしまうので言わない。言わない。


パンフレットが濃厚すぎて半分ぐらいしか読めてないので、ゆっくり読むとします。

ネタバレ感想と舞台挨拶のメモはコメント欄。
マーフィー

マーフィー