さすらいの旅人

市子のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.0
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【VOD/Amazon Prime/配信視聴/シネスコサイズ】

この壮絶な人生ドラマに圧倒される。
いくら虚構世界の映画としても、この市子と言う人物はその中で確かな存在感があり目が離せない。彼女は幼少期から不遇な家庭に育ったが、したたかに生活するその生命力は生き生きと感じられる。これは市子を演ずる花咲花の名演技にも支えられている。毎日映画コンクールで主演女優賞をとっただけはある。

市子は周囲の友達から見ると孤立気味であるが、気の合う友達やその人柄に憧れる男性たちはいる。ただ、突然奇妙な行動を取りみんなを翻弄させる。いったい市子とは何者なのか。この映画は市子の謎にせまるサスペンス映画でもある。時系列が混乱気味に変わるが、徐々にその謎に迫るスリリングさが独特の雰囲気を出している。

この映画は市子を緊張感に溢れる映像で描いていたし、音楽はほとんどなく日常のリアルな自然音や生活音が妙にリアルで効果的であった。佳作。