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アルパカと生きる喜びのhietonyのレビュー・感想・評価

アルパカと生きる喜び(2021年製作の映画)
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「灰色のアルパカが欲しいんだ」
「それなら心を込めて祈ることだ」

ペルー南部のアルパカを飼育している民族の話。
その民族はアルパカの精霊"Pakucha(パクチャ)"を信仰している。その精霊の中にも「品種の神」や「色の神」など、アルパカを構成する要素それぞれに神がいるようで、供物をし、舞い踊り、祈りを捧げることでアルパカの繁栄を願っている。

ストーリーなどはないし出てくる道具や執り行われる儀式がどのような意味を持つかなどの説明はされず、パクチャを信仰する民族をただひたすら写す"記録映像"ではあるが、それだけでとても貴重な映像であると思った。アルパカの精霊なるものがいることすら知らなかったからだ。

何かの繁栄を神に願うという行為自体については、日本人だって五穀豊穣を願ってお稲荷さんに手を合わせるわけで、国や文化や対象が違っても、人類というのはそうやって発展していくんだなと考えさせられる。

念の為付け加えておくと、本作はあくまでパクチャを信仰する民族が主題であり、「アルパカ可愛いね可愛いね」する映画ではない。そのようなテンションで観ようものなら、僕の両隣に座った男性のように開始10分で寝息を立てることになるので気をつけよう。
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