れおん

コーポ・ア・コーポのれおんのレビュー・感想・評価

コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)
3.8
大阪の下町の安アパートに住む、少しおかしなワケあり住人たち。住人だけじゃない。『コーポ』にはいろんな人がやって来る。生きるのが下手かもしれない。でも、今日も生きている。前に進んでいないようで進んでいる日々のひととき、人生を振り返る瞬間が誰しもに存在する。

管理人による家賃回収の取立て... 同じアパートに住む山口の首吊り自殺... 家族の問題、人間関係の問題、愛の問題。それぞれが抱える哀しみを共有して同じ屋根の下で暮らす住人たち。お互いに干渉しすぎずに言葉を交わし、ときに"共同作業"を行って支え合う。

岩浪れんじ原作。『コーポ・ア・コーポ』の原作読みたい。今連載している『セーフセックス』も読みたい。実写化映画から伝わってくる岡崎京子漫画や『闇金ウシジマ』の雰囲気。社会という外圧に感性を潰されていない個が、一人ひとりから滲み出ている。それぞれのキャラクターの人生を覗き見したいし、感性を享受したい。

邪魔しない音楽とシンプルな映像。馬場ふみか・東出昌大・倉悠貴・笹野高史・ブルゾンちえみ..... キャラクターの背景を汲んだ感情の機微の表現が、一人ひとり素晴らしい。全体としてのまとまりさえ映像作品の中に生まれていたことで、座りの良いラストを迎えられていた。
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