塚本晋也監督が小説家の小川哲のラジオ番組に出演して対談をしていたが、とても論理的で知的だな感じだった。「野火」では俳優として出演していて、とてもアグレッシブでパッションの人、というイメージを持っていたので、いい意味で意外だった。もちろんパッションが無いとこんな映画は作れないとは思うが。
「ほかげ」は二つのエピソードが子どもを通じて繋ぎ合わさった構成になっている。低予算の中、戦後の混乱した雰囲気がよく表されている。
森山未來は、凄みのある役者にどんどんなっていくなあ。「怒り」よりこちらの役の方が似合うなと思った。いずれにしても、振り切った役柄が、はまり役だ。
戦争で翻弄されたのは、殺す側にまわらされた戦士たちでもあったわけで、その罪の大きさやトラウマを背負って残りの人生を生きていかなければならない。小さな人間が、この罪の大きさを背負いきれないのは当然のことで、そこにスポットを当てた、本当に意味のある映画だと思う。
