「凄いことはスゴい。だけど……」
めっちゃ計算されてる。
動線、カメラワーク、転換からドローン。
取り留めのない
会話ベースの群像劇を
繋ぎ目なくワンショットで
「ミステリー&ステージ・ショー」に領域展開。
錯綜する人間模様の相関図をぐるぐると
すり抜けて飛び回る、この演出が
視神経から三半規管を惑わせて
一夜のバッド・トリップを擬似体験。
だがしかし、ここで問題が。
展開がまどろっこしすぎて
サスペンス自体がそんなに盛り上がってないんです。
しかも
「頭皮剥ぎ」という必殺技が
「ワンカット」に拘るあまり、スカされてます。
事件も複雑に重なりあって
予想外の急転直下……ってこともなく
(ある意味では急転直下)
シンプルに進行してっちゃうし。
そもそも
「多様性重視」&「ルッキズムに宣戦布告」してるのか、登場人物全員に愛着がわきません。
美の祭典なのに
外面も内面も、みんなクレイジーって
これ如何に、だよね。
そうなるともう、ただでさえ
脳内物質でトびそうなイベ子の眠気ってもんが……。
「最大のどんでん返し」な
「まさかのアンコール」を体験するためだけに
101分はキツすぎます。
5年前の『クライマックス』よりは
好感もてたけど
20年前の『アレックス』の衝撃には
まだまだでございました。