今までのシリーズと比べるとテイストは違うが、社会の底辺を生きる人間たちを主軸に描いている点や一風変わった演出手腕など、根本的な違いは全くなく、林海象らしさ全開の濱マイクだった。
障がい者のアイデンティティとアイデンティティクライシスにおける尊厳を是が非でも守ろうとするその有り様、さらには社会からの孤立性を真正面から描き、それをエンタメに落とし込む林海象の手腕というか、視点の鋭さがほんとに素晴らしかった。
また平成初期の作品ながら、障がい者(口が聞けないヒロイン)を属性としてではなく、1人の人間として捉えられており、社会がバリアフリーだとか多様性を重んじる現在の社会ではないのに、そこに着眼できるというのはやはり林海象の視野の広さというか、思想の素晴らしさであった。
改めて三部作観て思ったけど、林海象の作風はめちゃくちゃ好き。
