小難しい話かと思いきや、弱き者たちが一致団結して権力者を打ち負かすというストレートな勧善懲悪もの。実話ベースだが、株価が上がれば勝ち、下がれば負けというシンプルなルールが貫かれているので、金融知識がなくとも問題なく楽しめる。
結局のところ主人公サイドも敵さんも数字ばかりを追ってるマネーゲームの話ではあるのだが、それでもこの物語が心を打つのは、たとえ一文無しになるリスクを背負っても、彼らが信頼と矜持を守り通そうとしたという事実が、眼の前に燦然と輝いているからだろう。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『マネー・ショート』に通じる爽快感があるが、こちらは完全な庶民サイドー言ってみれば「普通の人たち」ーの物語であるがゆえに、共感もしやすい（SNSを駆使して協力するあたり、ちょっと『サマーウォーズ』っぽいよね）。
非常に面白かったが、欲を言えば、主人公があそこまでゲームストップに固執する理由（原作はそのへん踏み込んでいるらしい）を、もう少し描いても良かったかもしれない。
