すずす

闇を横切れのすずすのネタバレレビュー・内容・結末

闇を横切れ(1959年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

増村保造・監督、サスペンス映画ではなく、職業モノのドラマとしてよく出来たストーリー。さすが⭐︎菊島隆三・脚本だ。

保守的な町の若き新聞記者が、市長選挙のスキャンダルから町の腐敗に気づき、仕事の奥深さを学ぶこととなる。

以下は物語。

炭鉱の町・玄海市。
市長選を一週間後に控えた日、革新派の候補が連れ込み宿で、ストリッパー殺害容疑で逮捕される。しかし、居合わせた地元の所轄の警官は顔に傷のある不審な男を見た事を、地元紙の若い新聞記者・石塚に告げる。だが、警官は証言を翻し、殺されてしまう。

新聞社では、石塚から報告を受けた、編集長の高沢が取材を許可する。高沢は東京から招か、小さかった地元紙を大きく育て上げた敏腕のビジネスマンだ。この玄海市にも大手の新聞社が進出を図っていて、経営陣は販売店を統括する広瀬の動きを懸念している。

記者の石塚は、ストリッパーの同僚・元美が何かを隠している事を突き止めるが、彼女は口を割らない。更に、死んだストリッパーの夫が、石塚に手を引く様に脅してくる。

新聞社では、保守派の市長がヤクザまがいの広瀬運輸と結びつき、米軍から払い下げられた土地で大儲けを企んでいる事を掴む。しかし、石塚が師と仰ぐ高沢編集長は証拠を掴んでから、記事にする様に云い、石塚達に取材を継続させる。

新聞社の写真コンテストへの応募写真に、顔に傷のおる男の写真を見つける石塚。警察の捜査で、男はこの町では誰も知らないが、関東では有名な殺し屋だった事が判る。しかし、ネガを持っている写真屋は殺されてしまう。

警察内部にも汚職が広まっている事実を、石塚に知らされた署長は捜査をはじめる。一方、石塚は元美に呼び出され、ヤクザ達に半殺しにされるが、それでも怯まない石塚に、元美は心を許し、真実を告げる。ストリッパーは土地払い下げの話し合いに居合わせ、証拠のメモがあった。

石塚は事実を高沢編集長に告げるが、その直後、石塚は高沢が広瀬と電話で話している現場を見てしまい、怒って、社を飛び出していく。

腹を括った高沢は広瀬たちの所業を全て記事にすると編集部へ告げる。その時、石塚も戻ってくる。彼等が記事を作っている中、先に帰路につく高沢を顔に傷の殺し屋が襲う。高沢が殺されるが、殺し屋の話を石塚かから聴いたストリッパーの夫も殺し屋と刺し違える。編集長死亡の一報が社に届くも、石塚は記事が優先と皆を諭すのだった---------

エンド付近でもリフレインされる編集長演じる山村聰の口笛による「ラ・マルセイエーヌ」が超カッコいい。

僅か一週間の出来事(明示が不親切)しにては、大勢が死に、あざとい展開ではあるものの、クライマックスの大団円は流石、菊島隆三。
映画の作り(演出)は雑ですが、物語は素晴らしいのです。
すずす

すずす