難病を患うピエールの楽しみは、部屋のベランダからパリの街を見下ろし、行き交う人々の人生を想像すること。
一人の青年の視点を通じ パリの日常を描くことで、人生の価値を見出だしていく過程にハッとさせられます。
メラニー・ロランの美しさが果てしない。
ジュリエット・ビノシュはいくつになってもチャーミングだから素敵。
ー これがパリ。
誰もが不満だらけで、
文句を言うのが好き。
みんな幸運に気づいていない。
歩いて、恋して、口論して、遅刻して、
…なんという幸せ
気軽にパリで生きられるなんて ー
この台詞は、ラストシーンでピエールが呟くもの。
この映画の全て。
パリの街。
あらゆることに苦悩するパリ人達。
人生なんて捉え方一つで淀んで見えたり、煌めいて見えたりするもの。
パリで暮らそうがどこで生きようが、毎日はこの群青劇のように淡々と過ぎていく。
映画『PARIS』は、ありふれた毎日をずっとぐっと愛おしく感じさせてくれる。
ああ何か美味しい物でも食べに行きたいな〜なんて、心から思った。