いち麦

ポッド・ジェネレーションのいち麦のレビュー・感想・評価

ポッド・ジェネレーション(2023年製作の映画)
3.0
人工胎盤により女性が妊娠の身体的負担から解放された設定は近未来を描くSFの幾つかでも見かけた覚えがある。そこに焦点を絞り自然な妊娠・分娩ではなく人工的な胎児育成と産出を選んだ夫婦のドラマ。選択前には予想できなかった困難や問題を提示し、それらを夫婦がどう乗り越えていくのか描いてくれるSF&ドラマものと期待したのだが。胎児に対する夫と妻の負担と責任が平等になったものの、妻よりも夫の方が胎児への精神的結束を強めてしまうなど夫婦関係に影を落とす興味深い状況や、自然分娩しか選べない家庭との格差が窺える場面なども出てくる。だが様々な状況がどれも散漫に描かれるだけで人間ドラマとしての掘り下げが浅く残念だった。エミリア・クラークが収まったクリーンな生活空間を映す映像には惹かれた。
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