Jun55

ジャイ・ビーム -万歳ビームラーオ/ジャイ・ビームのJun55のレビュー・感想・評価

4.6
インド大映画祭で鑑賞。
IMDbの評価が8.8と高評価。
2022年のFilmfare Awards South(タミル)で作品賞受賞。(その他内外の映画賞受賞)
2021年10月のリリースから話題になり、注目していた映画なので、先ず以って日本語字幕で鑑賞できることが嬉しい。

ストーリーは、先住民ドラヴィダ系イルラ族の差別に対する法廷ドラマ。
主人公の人権派弁護士をSuriyaが演じる。
確かにSuriyaが主人公なのだが、ストーリーの中心はLijomol Joseが演じるイルラ族の女性であり、また彼女の演技が素晴らしい。

法廷闘争の展開も面白く、地方の警察権力を超えての対立になる。
何度も不利な状況を打破していく人権派弁護士の手腕も見所ではあるが、最も心を動かされるのは、イルラ族の女性センゲニの「正義(Justice)」に対する強い意志だろう。

権力、金、暴力も法の下では平等で、事実は覆せない。
また人権もいかなる人種、階級、性別に関わらず、同じように守られなければならない。
言葉で書くと、当然のように思えることが、インドだけでなく、日本も含めて人権確保に向けて闘っている人々がいる。
このような映画を観ると、その意味でも勇気がもらえる。

警察の尋問シーンは眼を覆いたくなるところだが、実話はもっと悲惨なのだ、との思いで観ていた。
事実から眼を背けることはできない。

アマゾンプライムが配給に入っているからか、映画の質がとても良い(いい意味でインド映画らしさがない)。
音楽も効果的なのだが、アビーロードスタジオで録音されている。

何よりも、心を動かされるところが、この映画が実話に基づくドラマであること。エンディングに、モデルとなったJustice K. Chandruが映し出されるが、実話のその後を知るにつけ、闘うことの意義を噛みしめる。
Jun55

Jun55