ぶみ

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズのぶみのレビュー・感想・評価

3.0
恐怖の夜を生き延びろ。

スコット・カーソンが開発したホラーゲーム『Five Nights at Freddy's』を原作とし、エマ・タミ監督、ジョシュ・ハッチャーソン主演により映像化したスリラー。
ある廃墟の夜間警備を請け負った主人公に巻き起こる不可解な出来事を描く。
原作となったゲームについては、本作品で初めてその名を知ったため、予備知識ゼロの状態での鑑賞。
主人公となるマイクをハッチャーソン、マイクに夜間警備の仕事を紹介したキャリアカウンセラーをマシュー・リラード、マイクの妹アビーをパイパー・ルビオが演じているほか、エリザベス・レイル、メアリー・スチュアート・マスターソン等が登場。
物語は、かつて機械仕掛けのマスコットで人気だったものの、子どもたちの謎の失踪事件があり、現在は廃墟となってしまったレストラン「フレディ・ファズベアーズ・ピザ」で働くこととなったマイクと、妹アビーの姿が中心となり、冒頭、マイクの前任であろう警備員が襲われるシーンでスタート、次には、マイクの前職での様子と、転職し夜間警備を始める様が描かれるため、ここまではホラーとして、上々の導入となっている。
以降、レストランを舞台として、マイクが襲われる展開になるのかと思いきや、そうならず、過去の出来事を引き摺っているマイクや、謎の絵を描くアビー、レストランの過去を知るレイル演じる警察官のドラマへと転じていくため、思いのほか、レストランのシーンが少な目だったのは、少々拍子抜け。
また、数々のホラー作品を手掛けているジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プロダクションが製作に名を連ねていることから、ゴリゴリのスラッシャーや、特異な動きによるホラーを想像してしまうと、これまたそうではないのだが、ブラムハウス自体、ホラー専門ということではなく、私が観た中ではデイミアン・チャゼル監督『セッション』、スパイク・リー監督『ブラック・クランズマン』、リー・ワネル監督『アップグレード』、ロバート・バドロー監督『ストックホルム・ケース』等々、ドラマやアクション作品も手掛けていることを考えれば、本作品のマイクが過去と向き合うドラマ中心の展開も決しておかしくないもの。
ただ、その肝心のドラマパートについては、決してテンポが良いとは言えず、各キャラクターの掘り下げも今ひとつだったのは、残念だったところ。
そんな中でも、前述の警察官を演じたレイルがなかなかの美人で、どこかで見たことあるなと思い、後から調べたところ、ジャスティン・デック監督『カウントダウン』で、エリザベス・ライルとクレジットされていた主人公だったことが判明し、思わず膝を打った次第。
ゲーム原作のホラーではなく、スティーヴン・キングが上梓した小説を映像化した青春スリラーと言われても、ああそうなんだと思わず納得してしまう内容であるため、ブラムハウス製作のホラーというイメージを期待してしまうと拍子抜け必至なのだが、決してクオリティは悪くなく、古くは児童文学を原作とした『テラビシアにかける橋』、数年前なら『ハンガー・ゲーム』シリーズのイメージが強い高橋由伸似のハッチャーソンの新たな一面と、レイルの美貌を堪能できる一作。

ボクヲミツケニキテネ
ぶみ

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