垂直落下式サミング

爆竜戦隊アバレンジャー 20th 許されざるアバレの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.5
画質の粗いスーパー戦隊シリーズのロゴをティラノが踏みつけるオープニング!ついに始まった!続編がっ!アラサー接待映画だってわかりきってるのに…、もうそろそろこういうので喜んでちゃいけないと思うんだけどな、まんまとしてやられました。紛れもなく『爆竜戦隊アバレンジャー』だった。
当時のオープニングに、20年後の現代の俳優たちの顔が差し込まれる。ただでさえカットの切り替わりが多いのに、映像がリミックスされて更に情報過多となっていて、つまるところ爆裂にエモい。
懐かしいテンション。そうだった。アバレンジャーって体育会系ノリだったんだよな。スポ根のような熱血。本作では、幼少のころ同級生からの「アバレハラスメント」によって傷を負った女性を登場させることで、なんでもかんでもコンプライアンス違反の狭苦しい現代を風刺するとともに、時代遅れな過去のヒーローの存在意義を今一度問い直そうとしており、小規模で子供だましの域を出ない内容ながらも、なかなか核心をついていると思った。
ちゃんとした職業についていなさそうだった性善説バカのレッドが、アラフォーであの感じに仕上がるのは解釈一致。クールキャラで先生のブルーはそのまんまキャリアを重ねていった感じだったし、えみポンとも上手くいってる風。ブラックは追加戦士なのに程よく弱くて、いちばん礼儀正しく物腰が柔らかな好青年。アバレキラーは敵のとき異常に強いのに、味方になると死ぬほどデバフがかかる。ホワイトじゃないのがクールだよな。これが、アバレンジャーだ。観る側にストレスを与えない素敵アンサンブル。
恐竜カレーのおじいちゃんは写真での出演。俳優さんは逝去してしまったけれど、あの世界線では元気バリバリ冒険を続けているらしい。これが映画の愛ってやつだ。
爆竜たちも魂だけで復活。超アバレマックス。やっぱ喋るロボが好き。さすがに、アバレオーは東映の倉庫に、もう残っていないんだなあ。ちょっと寂しい。
そして、特別出演の樹らんる役(アバレイエロー)のいとうあいこさん!僕がこの人に言及しないと嘘になる。今でも、これからも、最推しです。
女優業を引退されていたが、この役のために帰ってきてくれた。ホントすき!顔が好き。いちばん好きだなあ。アラフォーのミニスカだからこそ、こんなに眩しい。公開週に観に行かなかったのは、イエローの入場者特典配布が二週目からだから。二分の一を見事引き当てましたよ。ファンですから。
憧れは止められねえよ。Don't Stop Me Now!女優引退後は、ご結婚されて家庭に入って主婦をやっていたとのこと。『世にも奇妙な物語』で堺雅人の奥さんを演じておられていたのを思い出した。その回だけ異常に見返してる。ちなみにDon't Stop Me Nowは、クイーンじゃなくて2nd写真集のタイトルやから。どうだ、キッショいだろう。
去年から女と同棲してて、引っ越しするにあたって、これまでソロエロりに用いてきた如何わしいブツは泣く泣くだいぶ処分したんすけど、いとうあいこさんの写真集だけはずっと隠し持ってった。
それが、最近ついに見つかってしまって、こんなんいらんでしょポイとブックオフ送りになりそうなところを、超大好きで、どうしても大事で、もう手に入んないし、ちゃんと片付けとくし、そういうんじゃないってのを力説したら、眉間に深いシワを寄せゴミをみるような眼つきでドン引きされてしまいましたが、それと引き換えに死守することができました。やったぜ(苦)
アバレンジャーのテレビシリーズ本編には、らんるちゃんに助けられたカメラ好きの少年が、自転車に乗って去っていく彼女の後ろ姿を写真におさめて、大人になってもふとした時にそれを眺めては子供の頃に体験した不思議な出来事に思いを馳せているっていう、これまた激烈キモいエピソードがあるんだけど、あの頃はまさか僕がそうなるとは思わなかったな。未来は明るい。
本編については、かなり子供向け。ノリで苦悩し、気分で立ち直り、雰囲気で打開。ギャグはコロコロコミックくらいなのに、思い付きでちょっとだけ社会風刺も入れとく謎バランス。朝生がいかに下らない番組か。出演者全員バカっていう新手のディスり。オトナはみてらんないくらい雑なガキ向け特撮番組のそのまんまをトレースしているのが、僕としては好印象だった。大人になったからって、変にハード路線にしなくていいもん。あの頃のあのまんまがみたいんだよ。
つづく。またみてね。劇場版なのに来週もありそうな締めくくり。30周年で、また合いましょうってコト?あんがと。来年も再来年も生きられそうです。
普通だったら、シナリオに新しい葛藤や挑戦を入れ込まずに新作として世に出すのは不安だと思うのだけど、本作は成長を描くことをスッパリとやめている。そこが、スゴい。
出来上がった世界観を、もう一度。作り手が、アバレンジャーというコンテンツの力を信頼していないと、ここまで出来ない。僕らの好きなアバレンジャーを、ここまで覚悟をもって信じてくれて、本当にありがとうございます。


【劇場備忘】
いつもはロビーでチンタラして予告やCM終わる頃に劇場内に入るんだけど、今日は珍しく予告が始まる前に席に着いていた。そしたら、「僕ちょうど世代なんですよ。グッズとか買いました?」と近くの席の奴に声かけられちゃって…。ジェラードンのコントキャラをもっと酷くしたみたいなのに絡まれて困っちゃったんだけど、彼は僕がこうなっていたかもしれない姿で、別の世界線から本作を観にやってきたのだと自分に言い聞かせて、ふんわりと接することにした。本音を言うと邪険にして刺されても困るからですが…、パンフレットもみせてあげました。これパクられんじゃないかと心配してたら、懐かしいなあとパラパラ軽く目を通したあとちゃんと返してくれる普通人で安心。はは、もうちょい優しくなんなきゃなと。