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BAD LANDS バッド・ランズのnatsuoのレビュー・感想・評価

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)
3.7
「良くも悪くも肩の力を抜いて観られるサスペンス」

ずっと観たいと思っていて見逃していた本作。劇場公開中に滑り込みで鑑賞。名だたる作品を世に送り出している原田眞人監督の最新作だったが、実は過去作は一作も観たことがなくて。本作は、安藤サクラなのと、サスペンスクライムが好きなのと、予告のビジュアルがかっこよかったから鑑賞した。
正直この手の作品は五分五分でどっちに転ぶかわからない。からまあそこまでは期待せず、でもどっちに転ぶかなーとワクワクしながら鑑賞した。


大阪に身を置くネリ(安藤サクラ)は、特殊詐欺グループの受け子。数年前の東京での仕事がきっかけで東京から逃れ大阪で身を潜めていた。今は高城(生瀬勝久)の元で、あらゆる特殊詐欺を受け子たちに伝授し金持ちから金を巻き上げる手助けをしている。しかし彼女は「ほんまもんの詐欺師にはなりとおない」と、自身が表立って詐欺を行うことや大きな計画を行うことは控えていた。
刑務所から出た腹違いの弟ジョー(山田涼介)は、どこか抜けていて姉を酷く慕っている。しかし彼は寧ろ大きな賭けに挑むタイプで姉とは対照的だった。そして高城を殺せば巨額の金が手に入ることを悟り、裏でその計画を進めていたのだ。
ネリがある仕事を終えた時、ジョーがいよいよ計画を実行に移すが、高城は激しく抵抗しジョーは追い詰められてしまう。しかしその現場に偶然にも居合わせたネリは、高城を殺しジョーを救った。自身の面倒を見てくれた高城だったが、弟を助ける決断をしたのだ。そして高城亡き今、彼の資産は全て2人の手中にある。しかし彼は非常に大きく影響力の強い存在だった。亡くなったことがバレると2人の身も危うい。2人は手にした巨額の金を安全に引き落とせることができるのか。刑事、高城との繋がりのあるヤクザ、ネリの過去を握る人物、様々な者が裏で2人を迫る中、ネリとジョーは危険な賭けに出る。


結局どっちに転んだのかというと、よくわからないまま終わった笑 面白かったし嫌いではない作品だが、少々退屈でイマイチぐっとのめり込めた印象はない。そこまで大きな企画でもないし人を選びそうではある作品なので、まあこんなもんかなーと思えばこんなもんなのかもしれない。

サスペンスの面はとても面白かった。濃厚で二転三転するような話でもなく、かなり素直にすんなり描かれてとても観やすかった。超個人的な話だが鑑賞時少々疲れていた笑ので、難しすぎずこれくらいでちょうどよかったなと思う。詐欺について無知な自分でもかなりわかりやすいストーリーの展開だったし、ちょっとしたサプライズ要素も含めてある意味楽しい映画だった。良くも悪くも深入りしすぎず少々肩の力を抜いて観るのにちょうど良い。展開は割と読めるが、それでいて面白いサスペンスをみせてくれて嬉しい。
大阪ヤクザの厳つさがかなり光っており、特に安藤サクラはもうピカイチの演技。恐ろしいほど男前でかっこいいの連続。それでも地に足がついたある意味での親しみやすさは流石だなと思う。怪物でも主演(助演)女優賞ばりの輝きだったが、本作もそれに負けないパンチを繰り出してくれた。
詐欺計画のワクワクや銃撃戦など、自分が好きなサスペンスクライム要素も多く詰め込まれていてよかった。特にラストのジョーはかっこええな。

しかし、先も述べた通り少々退屈してしまったのはマイナスポイントかも。画は動くし展開もテンポ良く進むし間延びしている感もないんだが、何故かのめり込みきれないのがむしゃくしゃ...!って感じ笑 本当はもっと楽しみたかったのだが、のめり込みすぎず軽く観るのがちょうど良くなってしまったのだろう。割と要素が多すぎて全てを追ってちゃんと考えてしまうと疲れると感じた。だから割り切って軽く観たら案外軽くても大丈夫だったので、、、って感じかなー。強く人に勧めきれないもどかしさが残った映画だった。


ストーリー展開や安藤サクラの素晴らしい演技、サスペンスクライムのワクワク感は十分楽しめたが、作品に入り込みきれないもどかしさが残る惜しい映画だった。もちろん観て損したなんて思ってはいないが、もう少し何か、何かが欲しい!といったところ。原田監督作は初だったので、他の岡田准一さんとのタッグ作を中心に観てみたいと思う。今後のご活躍にも期待だ。

2023.10.27
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