東京国際映画祭学生応援団

開拓者たちの東京国際映画祭学生応援団のレビュー・感想・評価

開拓者たち(2023年製作の映画)
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20世紀初頭のパタゴニア地方を舞台に、先住民を殺害することを目的として旅する白人のグループの行動を、白人と先住民の間に生まれた若者の目を通して描く。チリの歴史の中で埋もれていた事件に光を当てた作品。

20世紀初頭のチリにおける弱肉強食の世界をこれでもかというぐらいに描写していた。流血シーンなど容赦ない描写が多いが、後半に連れて面白さを増していく展開であった。また、1人の青年の視点から描く構成と映像美が素晴らしかった。場面ごとに映しだされる青年の目力に引き込まれる。
映画を通して、埋もれていたチリの歴史的大事件を知ることが出来ただけでも見る価値があったのかもしれない。
そしてラストシーン。
ラスト20秒程だろうか。無音で映し出される彼女の顔を見て何を思うだろう。
あれこそこの映画を通して伝えたかった徹底的な非難と抵抗だ。

あらゆるシーンを通して人物の感情を想像しながら観る楽しみ方ができた作品であった。

12期 牧野