モモモ

哀れなるものたちのモモモのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
ヨルゴス作品で「爽快な気持ち」で劇場を後にする日が来るとは。
「自殺を図った母親の身体に胎児の脳を移植した主人公」との概要から露悪的な作品をイメージしていたが、蓋を開けてみればフェミニズム人生讃歌映画でビックリ。
まあ、あのヤギのオチだけ「かぁー!露悪!!!」って感じでしたが。
エマ・ストーンのプロデューサーとしての審美眼マジで凄いですね。
POOR THINGなのは私じゃなくて、深く思案せず、体験せず、抑圧し、コントロールしようとするお前達だぜ!?な傑作。
「自分の身体は自分の物」だし「知識は力」だし「自由意志を肯定する存在こそが家族」なのだ。
ヤリチンのラファロがドンドン転落していく最高の喜劇。
拙い喋り方のベラを好ましく思い、自分が教える側で、コントロールする存在なのだと自負していたのに、知識と経験を得ていくベラに捨てられて、最後までみっともなく縋り付く姿に、愛着を覚えてしまうのはラファロだからこそ。
怪物の父に怪物にされた男が、怪物を作るが、そこに愛が芽生えてしまったので、怪物は人間になりました。
広角レンズの鶴瓶うちな序盤に「これはやり過ぎじゃね…?」と引いていたのだが…ベラの心情や知的能力に併せたレンズ選定だったんですね…物語が進むにつれてオーソドックスでオールドスタイルなアングルとカメラワークに落ち着いていくのが最高。
互いを知った上で冗談で笑い合うSEXはちゃんとした行為になるんだ…!が1番グッときたポイントかもしれません。
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