ぬまざき

ほつれるのぬまざきのレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
4.8
傑作でした。映画館で見られなかったことを悔やむけど、見られてよかったです。
浮気ものって好きになれないんだけども、この作品は浮気行為を肯定せずただただ「そうしないと生きていけない」人間のお話として描いていて面白かった。
特に主人公の夫がよくできたキャラクターで、相手に非があると思っていて(視聴者としてはまあ確かにな、と思うところである。)自分の正義感でもって相手を傷つける物言いで正論のような何かをぶつけてくる。
Twitterでよく見る。自分に非があるという次元で生きていない。相手に非があるので謝罪させなければ、という感覚で生きている。そういう人間の過去はまあ察してしまうところもある。

逆に主人公はSNSの関係と同じような生き方をしていると思った。夫とは相互フォローのような関係。さっさとブロックしたいが婚姻関係にあるため、それができない。なので別アカから人とおしゃべりをしてしまう感じ。浮気のことも「悪いことじゃないじゃん」という開き直りとはまた別の生き方として捉えているようなところがある。
ただ浮気相手が事故死することで、そういう生き方に亀裂がはいり、最後に夫につぶやいた一言で、ようやく彼女は地に足をつけた生き方に変わるのかなあと思った。ようやく本音でしゃべることができたね。
ぬまざき

ぬまざき