「グランツーリスモ」にどハマりしていた青年が、その経験を活かして本物のカーレーサーになる話。
物語そのものは凄まじいものがあって、否が応でもアツくなる!ただのゲーマーが本物のレーサーとして結果を出すなんて、ましてやル・マンで3位だなんてとんでもねえ話だ。あとこれをやろうとしたダニー・ムーア、マーケターとしてぶっ飛びすぎやろ。
基本となるプロットの強さ、そしてヤンが知り尽くすメカパーツへ肉薄する撮影と激しいカット割はめっちゃかっこいい。コンマ数秒のやりとりの世界を体感させるものがあった!
ここからは超個人的に思うところ。正直にいえば、映画の細かいところで絶妙に引っかかるものがある。ヒロインの存在感、ジャックとの関係値、事故の扱い方。きっかけを作ったうえにそれまでの支えになった親友にも電話してあげてほしいよ笑
ヒロインは必要かというとそうでもなくて、ハリウッド映画にありがちな「キスシーン必須論」に使うための記号のよう。テンポはものすごくいい分、ジャックとの信頼関係を確かに感じさせる場面も少ないかなあ……ブレーキの不具合を感じとっていたことだけじゃなく、たとえば抜き去る一瞬のタイミングがジャックと一致している、あるいは元レーサーとは違う判断によって信頼されるとかあると間違いなくウオオオってなったな(これだとフォードvsフェラーリと近くなってしまうんだけども)。
これがあってもル・マンでの独自ルートは最高にキマると思うのだ。
事故についても、時間軸が実際と違うことはまあ置いておいたとして、一瞬すぎると思う。ジャックとのドライブ一つで越えられるのだろうか。
というように、初見では、物語に起伏を生む要素が少し希薄かもなあと思った。かといってそれぞれ良い要素だし、難しいな。ちょっと捻くれてるかな。考えすぎたかも。
どちらにせよ、「グランツーリスモ」開発者の情熱とそれに賭けたファンたちの情熱、そして日産の挑戦、何より命懸けで最速へ挑むレーサーたちは本当に素晴らしいことに間違いはない。