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グランツーリスモのsanbonのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.0
今作は、世界的和ゲーである「グランツーリスモ」が題材という事もあり、劇中には製作者である「山内一典」と「ソニー・インタラクティブ・エンターテインメント(SIE)」が登場し、なんの誇張もない日本の景観がそのままスクリーンに映し出される。

すると、不思議な事にハリウッド映画でさんざっぱら"トンデモニポン"を観てきたせいか、なんだか殺風景でつまらん風景に見えてくる。

そうか、これがありのままの日本なんだと、個人的カルチャーショックポイントはそこだった。笑

それにしても、トップランクとはいえただのゲーマーの中に、プロレーサーに憧れてる人なんて本当にいるもんなんだ。

どれだけGTがシミュレーターとしての精度が高くても、実機で感じる身体への負荷までは当然再現出来ないし、その負荷がどれだけえげつないものかはプロレーサーのあのぶっとい首を見てれば一目瞭然なのだが、それでもゲームが上手いというだけで「僕がガンダムを一番上手く使えるんだ」ばりに驕った考えをしてる人が中々いる事に驚く。

ただし、今作に限っては事実な上にそこから本当にプロになって「ルマン」で入賞までしちゃうんだから、これを観たらいくら誇大妄想じみていようが軽々しく人を馬鹿には出来なくなる。

まあ、流石に優勝までは出来ないから、そこら辺の物語的な盛り上げ方に関しては相当な苦労の跡が見えるのだが、キャストの熱演も相まって言い方は悪いが上手く誤魔化せていたとは思う。(褒めてる)

とりあえず、今作のMVPは間違いなく「デヴィッド・ハーバー」でしょ。

あと、今作はSF作品の異端児である「ニール・ブロンカンプ」監督にとっては超異色作だと思っていたのだが、蓋を開けてみればニール節が反映された、彼がメガホンを取る意義をしっかりと感じる作品となっていたのはかなり好印象。

まず、特筆すべきはゲーム画面の表現をかなり上手く実写に落とし込んでいる点だ。

ゲームUIを意識した画作りが秀逸で、しっかりとGTというゲームソフトが物語の根底にある事を終始意識した表現になっていたのは流石の一言。

それこそ、今作は入り口こそゲーム入りだが、序盤を過ぎればずっと実際のレースものにシフトしてしまうので、撮る人が人ならグランツーリスモとは名ばかりの作品になってもおかしくはなかったのだろうが、そこはSFの異端児もとい名手である監督だからこそ、ここまでの親和性を持たせる事に成功出来たのだと思う。

特に、あのインドアなゲーム筐体から実機のレースマシンへと場面が移り変わるあの表現。

めっちゃ興奮したし、こういう映像を観る楽しみがあるのが映画の醍醐味だよなと、あの場面の満足度は個人的には相当高かった。

最後に、役柄と風貌的に「オーランド・ブルーム」は絶対に主人公達に不利益をもたらす奴だと思ってごめん。
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