千年女優

Winter boyの千年女優のレビュー・感想・評価

Winter boy(2022年製作の映画)
2.5
親元を離れて寮で生活する同性愛者の男子高校生で、冬のある日、父親が事故で急死したために実家に連れ戻されたリュカ。突然のことに気持ちの整理がつかないまま兄の住むパリへと訪れた彼が、兄のルームメイトで芸術家志望のリリオと出会って心を惹かれていくもやがて混乱を抑えることができなくなり暴走する様を描いた青春映画です。

レンヌで文学と映画を学んだ後にパリで当時タブー視されていたゲイの話題を取り上げ、映画監督デビュー後も同性愛や家族をテーマにした作品を手掛けるフランス人監督クリストフ・オノレが制作した2022年公開の作品で、両親共に俳優という芸能一家に生まれたポール・キルヒャーの主演が話題になって各国の批評家からも好評を得ました。

主人公が同性愛者であっても冒頭よりカミングアウト済とことさら深刻に扱わず、あくまで監督自身も経験した父の死を主題とします。そのさりげなさはLGBTの扱いとして進歩的ですが、他にも様々な政治問題に触れては少し経つとフェードアウトする作劇は冴えておらず、感情の発露を全て喚きで表現されては喧々たる印象拭えない一作です。
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