本編とのギャップに戸惑う。
予想に反してかなり良かった「キングオージャー」に比べ、今作はいつもの「仮面ライダー」という感じで、劇場版独自の時間軸(パラレル)の中でオリジナルの物語が展開されていく凡作中の凡作という感じ。
しかも、本編はほとんどコミカルな演出もないままクライマックスに突入しているというタイミングで、何を思ったか今作はコメディ路線で構成しているという謎仕様。
そのコメディ要素も面白くさえあればまだいいのだが、普段はクールを貫く「英寿」をポンコツに描いたそれは、正直に言って個人的には見ていて恥ずかしいものにしか感じなかった。
その上、本編では絶賛闇堕ち中だった「景和」を何事も無かったかのように闇堕ち前の状態で登場させてきていた為、パラレルのような体裁をとっているのかと思いきや、今作のゲストヴィランである「クロスギーツ」は本編でもチラ見せで登場していたりと時系列もごちゃついており、ところどころ複雑な心境でこのおちゃらけ「ギーツ」を見させられる状況にぶち込まれるから、全然感情が追いつかず正直見方が分からなかった。
ヴィランの「メラ」と「メロ」も仮面ライダーの映画ではお馴染みの典型的愉快犯といった具合で、敵としての面白味に欠けるし、なんかいいところがあまり見当たらない。
「ワンネス」も近年の最強フォームなどでやりがちな、いわゆるテンコ盛り系の強化体で、結局はクロスギーツと同じく「ギーツナイン」のリデコでしかないから、せっかくの劇場版限定フォームも盛り上がりどころに感じにくい始末だ。
新ライダー「ガッチャード」のお披露目も、カード2枚の組み合わせで変身というのが、もう何番煎じかという感じで目新しさも一切なく、毎回劇場版の新ライダーお披露目はアクションもド派手に演出するものだがなんかそれも微妙な感じで、率直な感想次回ライダーちょっとおもんなさそうだった。
ただ、ボロクソに言っているように聞こえるだろうが、仮面ライダーの映画はこの程度が平常運転でもあるから、総合的に言えば可もなく不可もなく、だけど絶対的に良くはないというクオリティであった。