他殺か自殺かの裁判で著名な作家(母親)一家の過去や知られたくないアレコレが明るみに出てくるという法廷劇で、内容はともかくショットの7割以上がバスト〜クローズアップで単調(無論数えた訳では無い)。住居空間の構造を示す有効なショットを欠いた(若しくは無くても構わないという主義の)典型的な現代映画。もう一つ無いのが時間の感覚で、省略で生まれるリズムみたいなものが全く無い。内容的には落下自体の検証はされず、そこに至る動機が中心で、結果的に夫婦関係を紐解いていくという感じで、それも言葉の情報が殆ど。つまり別に映画で無くともラジオドラマで十分な内容。言葉少なめな息子と物言わぬイヌが比較的映像表現に相応しく思えるがそれも決定的では無い。
