凪

落下の解剖学の凪のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.9
裁判を通して、サンドラの夫婦関係や家族が“解剖”されていく様子を、傍聴席にいるような感覚で体感できた。シーンによって、サンドラ自身、または検察官、ダニエルなど、立場を変えて考えさせられることが多かった。裁判所でのシーンはとても没入感と臨場感がありました。
決定的な証拠は無く、目撃者は盲目の息子だけ。そんな中で裁判官はどんな判決を下すのか。最後、判決は出るけどそれが真実かどうかはサンドラにしか分からないことで、見ている私たちに真実は明かされない。“何が起こったのか”映画を通して考えてきたことが最後の最後まで私たちには語られない。このモヤっとした終わり方が、この映画に深みを出しているのだと思う。
サンドラと裁判官たちの間に言語の壁があり、その少しの言葉のニュアンスの違いでまた受ける印象が違うという演出(?)がすごいなと思った。
自分の言葉で感想を書くのが難しいし、どんな解釈をしていいのかも分からないけど、そうやって言葉に表せないくらいいい映画だったと思う。観客への見せ方と考えさせ方がとてもうまかった。

「問題なのはそこじゃない。」が全て。


本編とは関係ないかもしれないけど、犬の演技がすごい!あと、ヴァンサンかっこ良かった
凪