ミツバチゴロバチ

ポトフ 美食家と料理人のミツバチゴロバチのレビュー・感想・評価

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
4.0
フード好きにとっては、厨房シーン、しかも100年以上前の、でも調理法や調理器具は今に通じるので遠い世界の話ではない、を劇伴を廃してけっこう丹念に見せてくれるので、ワクワクしっぱなしでした。イートシーンも無駄口叩かず料理にむしゃぶりついてて、そうそうこうでしょ!と。(でも食べた後はむっちゃ語る)

いつの時代の話なんだ?主人公の生業は?どのように生計を?この友人グループはどういった人たち?に、そこは特に説明せず、でも何となくはわかってくる(わからなくてもいい)話運びや、あらすじだけ言ったらかなり簡単なストーリーを、巧みな味付け(ばえるお菓子や見たことないテーブル作法、ジュリエット・ビノシュのちょいエロ等々)でカラフルに彩ったり、胃もたれさせないさりげないエンディングと、トラン・アン・ユン監督の熟練みが際立つ。まあちょっとこの映画のルックでこの尺は長いかなあとは思ったが。

同じ美食家は美食家でも海原雄山とは打って変わって、愛妻家であり誰にでも誠実な態度のドダンさん(雄山もあれはあれで愛はあったのだよと後々はなったんだっけ)。この時代(19世紀末)の美食家なる偏狭そうな界隈に、こんなフェミニストな物分かりいい人いる〜?とツッコミたくはなるが、幸福な大人のラブストーリーでした。

大きな平目専用の菱形のオーブンパンなんて初めて見た!