長男として父から求められた役割を果たすことができずに家族と身を分かつことを決めた平山は父の死が近いことを知る。
さらに人の死を意識するような出会いもあり、それまで判で押したようなささやかな日々を送る彼の感情は大きく揺さぶられる。
それでも二度と同じものはない木漏れ日のように美しく尊い「今」を生きていく。
なんてね。
Perfect Daysには公衆トイレから想起される汚い描写がほぼない。つまり本作は監督がもつ古き良き日本のイメージを現代風にアップデートしたファンタジー映画ともいえる。
そしてもちろんそういう映画があってもいい。役所広司の最後の長回しを見るだけでも価値あるのは間違いないし。
いや、わかりますよ。
ヴェンダース監督の小津への愛も。
ただどーしても、渋谷区のトイレプロジェクトがらみの映画制作としてある種の制約があること、またエンドクレジットに柳井家の面々がズラッと並んでるとね、素直には見れません。すみませんね、性悪で。制約のない「アナザーPerfect Days」を見てみたかったですね。
