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PERFECT DAYSのtorumanのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.2
トイレ清掃員平山(役所広司)の日常を描いたヴィム・ヴェンダースの日本映画。

慎ましい生活の中にある"Perfect Days"
観れば誰もが感じる多幸感溢れる作品でした。

植物への水やり
朝の缶コーヒー
東京スカイツリー
カセットテープの音楽
首都高
木漏れ日
鼻まで浸かる銭湯
浅草の飲み屋
寝る前に読む文庫本

さり気ないひとつひとつの描写は、平山の小さな人生に蓄積する宝物に感じます。

車で流れる曲も良いです♪
女子はPatti SmithとVan Morrisonが好き(私も大好き😊)

平山の姪が読んでいる文庫本も興味深いです。
パトリシア・ハイスミスの「11の物語」この中で話題になっていた「すっぽん」を読みたいです。

ヴィム・ヴェンダースは、自身のドキュメンタリー作品『東京画』の中で、小津安二郎の映画を「最も日本的だが国境を超えて理解される。」
「我々はそこに自分自身の姿を見て、自分のことを知る。」
と言っていましたが、この作品も同様でした。

平山の生活には時折波風も立ちますが、それらは平山の世界(ルール)を逸脱させる事はなく自分の生活を粛々と歩みます。

一日殆ど喋らない時もある求道者のような平山の生活は、我々の生活とは違います。
けれど、自分の生活を振り返りたくなる、穏やかさ、慎ましさ、芳醇さがそこにはあります。

ラスト、長回しで映し出される平山の表情。
その表情、この表情は何を語っているのだろう…
もう一度初めから観直したくなる余韻に溢れています。

年の瀬に出会った傑作です。
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