千年女優

PERFECT DAYSの千年女優のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.5
年季の入ったアパートに一人暮らしをする寡黙な中年男性で、東京都渋谷区各地に設置された「THE TOKYO TOILET」の清掃員を務める平山。几帳面な性格できっちりと仕事をこなしながら日々のルーティンを過ごす彼が、傍目には繰り返しに見える日々の中でも楽しみを見出して訪れる様々な変化を受け入れていく様を描いたドラマ映画です。

公衆トイレのイメージ刷新を目的に行われた日本財団によるプロジェクトの一環として制作された映画作品で、白羽の矢が立てられたヴィム・ヴェンダースが実際のサービスに感銘を受けて短編から長編へと再構想し、造形深い小津映画の登場人物にあやかって名付けられた主人公を役所広司が演じてカンヌ国際映画祭で男優賞を獲得しました。

『パターソン』を思わせる平凡な市民が過ごす「日常」を描いた作品で、繰り返すからこそ生まれる愛おしさとそれでも訪れる変化を捉えて喜怒哀楽あるドラマとします。やや作為は強いですが、もはや進化を望まぬ達観、Sometimes I feel so happy. Sometimes I feel so sad. 野球と宗教は人それぞれ。そんなPERFECT DAYSを綴った一作です。
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