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テノール! 人生はハーモニーのkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『テノール!人生はハーモニー』
原題 Ténor
映倫区分 G
製作年 2022年。上映時間 101分。
パリ・オペラ座を舞台に、類まれな美声を持つラッパーと一流オペラ教師の運命的な出会いを描いたヒューマンドラマ。
音楽オーディション番組THE VOICEで注目されたビートボクサーのMB14が主演を務め、自らオペラ歌唱にも挑戦。
ミシェル・ラロックがオペラ教師マリーを演じ、世界的テノール歌手ロベルト・アラーニャが本人役で出演。

町の小劇場にて鑑賞。

寿司の配達のためオペラ座ガルニエ宮を訪れたラップ好きのフリーター青年アントワーヌ。
ふとしたことからオペラの歌真似をした彼は、偶然その場に居あわせた一流オペラ教師マリーに才能を見込まれてスカウトされる。
自分とは住む世界が違うと考えながらもマリーと2人で秘密のレッスンを始めたアントワーヌは、次第にオペラに熱中していくが。。。

"I dreamed of taking to the sea
Pouring out torrents of tears
I wanted to find the meaning of my life
Before I had to give up my soul"

俺は海に向かう夢を見た
滂沱の泪を流しながら
人生の意味を見つけたかった
魂を捨てる前に

社会における自分の居場所を見つけるってことに何か日々駆り立てられ、多かれ少なかれ困難な選択をさせてまう。
田舎に引っ越した小生もいまだに悩みの一つが一人モンやし幾分かは楽かな。
一般的には、家族や回りのモンに良くに思ってもらうために行動し、人生の多くの不確実性にもかかわらず、ハードルを越えていかなきゃならない。

クロード・ジディ・Jr.の初監督作品である今作品は、フランス映画界における即席の作品として際立ってはいた。
しかし、今作品は良く見かける内容は否めないかな。
特に印象的な2本の映画を思い浮かべる。
カーティス・ハンソン監督の『8 Mile』(2002年)では、観たものに、ラッパーのエミネムが優れた俳優であることが証明し、映画は彼の過去と、そしてこの世に通過した痕跡を残した作品。
また、マット・デイモン扮する反抗的な才能の持ち主が、ロビン・ウィリアムズ扮する心理学者と出会い、人生を前進させ、自分の才能のより良い使い方に目を開かせた『グッド・ウィル・ハンティング』にも通じる。
まだまだあるやろけど割愛。
今作品はまた、フランスのビートボックスクルー“Berywam”のメンバーとしてビートボクサー、モハメド・ベルキル(MB14)の啓示でもあるかな。
ちょい仰々しい笑。
彼はテレビ番組(『The voice』第5シーズン)で、その音楽の才能の資質によって、観られた方には既にに記憶に刻まれてはいるとは思うが、彼を知らぬ人たちにも今作品では注意を引きつけ、ある程度の説得力を持たせることができる優れた俳優であることを示しているかな。
音楽であれ映画であれ、化学反応とインスピレーションてのが、面白いか否かはウエートを大きく占めてると思う。
映画を成功させるためには、多くの場合、大衆を魅了し、不完全さ、不平等、社会の裂け目など、現在の社会の現実的なイメージを送り返すことができる物語を紡ぐための適切な角度を見つけることに行き着く。
確かに今作品は、繰り返しにぬりますが他の映画を思い起こさせるのは否めない。
正確な解釈を提供し、特にMB14ちゅうアーティストに、無限の才能を誰の目にも炸裂させるベクトルを与え心の中に簡単に居場所を見つけることができる。
異なる音楽傾向(ラップ、クラシック音楽)をミックスすることで、この映画は常に正しいサウンドを奏で、仕事での成功や私生活での開花には、努力の仕方や出会いが必要であることを教えてくれる。
アントワーヌと彼の歌の先生との強い絆は、ウィル・ハンティングと彼の心理学者との絆と同様に、この映画の中心にある。
今作品、パリと郊外、異なる社会的背景の間にある溝を実に知的に扱ってて、何よりもチャンスをつかみ、そのために戦う方法を知らなければならないことを示していた。
クロード・ジディ・Jr.監督は、巧みに構成されたコメディ・ドラマを提供し、間延びすることなく注意を引きつけてくれた。
今作品は、オペラ・ガルニエを最高のアングルから撮影することにまぁ成功してると思うし、パリの紛れもない魅力のひとつであるこの外見の美しさを再発見させてもくれた。
パリを魂のない絵葉書として撮影するアメリカ映画の決まり文句を避け、クロード・ジディ・Jr.監督のカメラは、多くの重要なオペラが上演されたこの場所を撮影する完璧なアングルを見せてくれる。
クラシックの歌のレッスンをオモロイものにするのは難しい挑戦だったとは思うが、常に信頼性を保つために取られた配慮に魅了された。 
今作品で個人的にはMB14が俳優として期待せざるを得ないっすね。
最後の曲"Ma place"もよかった。
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