Jun55

Ponniyin Selvan: Part Two(原題)のJun55のレビュー・感想・評価

4.4
SpaceBoxさんの自主上映会で鑑賞。
インド本国ではSP-1と共に大ヒットの話題作。タミル語映画。
タミル語圏では誰もが知っているだろう同名の歴史大河小説がベースになっており(ストーリー良し)、名監督のMani Ratnam、豪華なキャスト陣、音楽がA. R. Rahman。とても贅沢な映画になっている。

SP-1が観れていないので、予習を確りして臨んだのが良かった。
(登場人物が多いので、敢えてネタバレの部分も予習しないと理解が半減する)
(日本人がSNSで幾つかコンテンツ、関係図等をアップしており、それも参考になった)

歴史小説がベースになっているので、史実も押さえておきたい。
舞台は、10~11世紀に南インドやスリランカを支配に治め、インド洋交易を積極的に進めたチョーラ朝。
チョーラ朝は南インドで最も長く栄えた王朝で、世界遺産でも有名なブリハディーシュワラ寺院を始め、中世インドにおける豊かな文化を残し、タミル人にとって誇りある歴史であることは間違いない。
(タミル文化を知るための登竜門といっても過言でない)

歴史的には、ラージャラージャ1世の治世が優れていたことで有名なのだが、この映画では彼が主人公ではないところが面白い。
実は、主人公がはっきりとしない!
(個人的にはKarthiが演じたVandiyadevanの目線でストーリーが展開しているような気がする)
おそらく、監督の意図としては、ラージャラージャ1世の治世の成功の裏に、幾つかの前段のストーリーがあった、という視点ではないかと思う。
Vikramが演じたラージャラージャ1世の兄Aditha Karikalanがロミオとジュリエットの如く死を選んだこと、また、ラージャラージャ1世が何故に仏教等、他宗教にも融和的であったか、等々、そのあたりの背景をうまく描いている。
どの時代も賢君の治世の裏にはサクセスファクターがあり、それを歴史の学びの観点で捉えていくと面白い。

何れの俳優の演技も素晴らしかったのだが、一番印象に残ったのがAishwarya Raiの演技。
彼女はDevdasで観た以来で、Devdasでの演技も好きではあるが、この映画では難しいキャラクターを円熟味を以って演じている。
主人公がはっきりとしない、と書いたが、彼女とVikramの二人を主人公としてこの映画を捉えるのが正しい見方かもしれない。

後は、早くSP-1を観たいし、観るとSP-2の感想も変わってくると思う。
特にキャラクターへの思い入れは、本当はSP-1から観ていないと入り込めないところもあるのかもしれない。(行動、発言の意味が深く入っていかない)
Jun55

Jun55