九月

私がやりましたの九月のレビュー・感想・評価

私がやりました(2023年製作の映画)
4.3
早口で捲し立てるフランス語の会話、瞳の色が際立つメイクやふわふわのヘアスタイル、洋服や家具や部屋の雰囲気等々、隅から隅まで見惚れてしまう、フランス映画のあの感じを久しぶりに味わいたくなり…思いもよらぬ軽快さで話は進み、またあれこれ予想する方向へとは進まず、こんなにコメディに振り切った作品とは思っていなかったけれど、とても楽しかった。

少し大袈裟な台詞や話し口調、強引な話運びも、少し昔の映画を観ているようで、それがまた面白かった。
100年ほど前のパリ。そこでも性被害や社会的な地位、貧困で苦しむ女性たちがいて、それらは今もなおあるものだと思うとうんざりするが、暗い気持ちになりすぎる前に彼女たちが明るく話を進めてくれる。

マドレーヌとポーリーヌはふたりでいろんなものを勝ち取り、めでたし。とは終わらずに、勝つ人がいれば負ける人がいて、奪う人がいれば奪われる人がいる、というところの描き方にもまた意外性があって好きだった。
九月

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