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ジュリア(s)のwksgknchのネタバレレビュー・内容・結末

ジュリア(s)(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

面白かった、傑作、本当に。なぜ上映館数が少ないのか、勿体ない。
サブスクで出たら是非観てほしい!

監督はオリバー・トレイナー、主演はルー・ドゥ・ラージュ(Lou de Laâge)、主人公のジュリアを演じる、将来有望なピアニスト。物語は大学生から始まる。

if映画は数多くあり、いくつか観ていると思うけど、その中でも埋没しないで独創性を感じる映画だった。
それはどのifも丁寧に描かれていること、
その分かれ目が1点でなく、ジュリアの人生のある節目で分かれた先の人生でまた分かれる、同じ時でないこと、全ての人生である1点で再び重なること、これらが違和感なくシームレスに続いていく、過去に戻ったりしない、というのが斬新。

また、どの人生だから良い、悪いというのが極端にない描かれ方も素晴らしい。そのため、鑑賞者にジュリアには他にどんな人生があっただろう、とか私自身のifはあっただろうか、と考えさせる流れになっている。

メイクやパートナー達の違いで切り替わりはわかるけど、それぞれの人生で演技を仕分けているのはさぞ大変だったと思う、全ての物語を時系列で一旦抑えておかないと、ジュリアがどのような口調や態度になるか想像できない気がするので。
縦軸としてピアノはいつでもジュリアの側にいて、向き合い方がそれぞれあるのが面白い。一度距離をとっても、結局はピアノによって関係が動く、ポイントになる。ピアノに愛されてるのか、縛られているのか、時折そのように突きつける視点もあったりする。
これも鑑賞者それぞれの仕事、趣味でもそうかもしれないが、程度の差はあるだろうけど、ピラミッドの頂点にいくこと、成功とは何か、ということを示唆してくれていると感じた。選ぶことができないだけに、この選べない、戻れない、やり直せないというのが絶対だからこそ面白いわけです。

ラストの展開は感涙でした。その展開が一番良いとかそういうことではないですが、1つの締めくくりとしてはジュリアは幸せを感じているのではないかと思いました。

仏での原題はLe tourbillon de la vie、人生の渦、という意味で、これはなるほど、です。
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