Maoryu002

ハンガー:飽くなき食への道のMaoryu002のレビュー・感想・評価

3.4
大衆食堂の料理人オエイ(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)は高級ケータリングサービスに引き抜かれ、有名シェフのポール(ノパチャイ・チャイヤナム)に仕える。彼女は特別な人間になりたいという夢に近づいていくが、それは人間関係や私生活を犠牲にする過酷なものだった。

「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」「ハッピー・オールド・イヤー」のチュティモン目当てで鑑賞。
確かに美味しそうな料理がたくさん出てくるけど、グルメ映画ではなく格差社会と人間の飢えを描いた作品だ。

2時間強、喜んだり落ち込んだり、美しかったり血なまぐさかったり、かなり慌しかった。
格差社会を常に画面に見せながら、富める者、貧しい者、それぞれの “飢え” が描かれ、満たされるとは何なのかを問いかける。

象徴的な存在がポールだ。人を不幸にしようが、罪を犯そうが、金持ち達を飢えさせることにこだわり続ける、彼の歪んだ “飢え” は観ていて気味が悪く、その料理もグロテスクだ。
それに、あんなパワハラ上司は絶対に嫌。笑

決して満たされないその世界に踏み込んで、本当に満たされるとは何かに悩むオエイを演じるのがチュティモン。相変わらず印象的な演技だけど、彼女って笑顔が似合わないというか、出演作であんまり笑ってないなって思ってしまった。

けっこう面白かったんだけど、終盤は懐かしい料理対決番組を観てるみたいで、そのケバケバしさに思わず笑ってしまった。ありきたりのエンディングにもがっかりだったなー。超尻つぼみだった。

それにしても料理ってエロい。 伊丹十三監督の「タンポポ」を思い出した。
Maoryu002

Maoryu002