どど丼

パッセージのどど丼のレビュー・感想・評価

パッセージ(2023年製作の映画)
3.9
ゲイ男性⇄バイ男性⇄シス女性、胸糞三角関係映画。三角形にはなってないけど。

「Keep the Lights On」ではゲイ男性同士の恋愛とセクシャリティ故の傷みを繊細かつ大胆に描いたアイラ・サックス監督の新作が、ロゴフスキやウィショーの共演で観られるなんてこんな幸せな事はない。「Keep〜」と比べると少しメジャー寄りになったのかあれほど鋭利では無いにせよ、三者の繊細な感情の機微はやはり物凄くリアルで刺さる。特にロゴフスキ演じるゲイ男性が承認欲求強めの所謂クズ男で、性別構わず相手を振り回す様は本当に胸糞悪い。だが見ていくうちに、彼らを含めた3人の心の内やバックグラウンドが気になって、観客として俯瞰しながら気づけば各々の感情に寄り沿おうとする自分がいた。本編の出来事以前の彼らの背景なんて全くと言っていいほど明かされないのがあざとくて、王道な構成ではありつつも作中世界に引き込む力はなかなか強い。あざとくて何が悪いか?、めっちゃ良いのだ……。

やっぱり癖が強い(悪く言えば粗が多い)監督だな〜と思ったけど、実力派俳優たちが出演するのも納得な良作だった。これは是非一般公開を……!
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