予告編が、途中からエンタメ作品だと切り替えていましたが、このままではまずいと配給側も考えたのだろうか。政治エンターテイメントとしては、（フィクションとしての）政治家の恐ろしさや派閥争い、政治闘争、政界のドン、みたいな部分がほとんど描かれていないので、出てくる政治家が、ただ名前だけになっている。一方で、推理劇としては、まず、犯人の恐ろしさがない。誘拐だけという条件なので厳しかった。自分達に迫る恐怖も、連続殺人鬼のような恐ろしさもないので、緊張感が生まれない。では、２転３転する、誰が味方で誰が敵か、犯人側の人間が混じっているのか、という「謎要素」もあまりなく、結果、大きな謎も驚きもない。
正直、ドキュメンタリー映画の『香川１区』の後半に描かれていた「事実」の方が、よほど恐ろしく、身近な内容でしたね。
2023年10月21日＠TOHOシネマズ日本橋
