千年女優

テトリスの千年女優のレビュー・感想・評価

テトリス(2023年製作の映画)
4.0
冷戦末期の1988年。横浜にゲームソフト会社ビーピーエスを立ち上げてRPGソフト『ザ・ブラックオニキス』をヒットさせたヘンク・B・ロジャース。次のヒット作としてソ連で開発されたパズルゲーム『テトリス』に目を付けた彼が、その販売権を獲得すべく政情不安定なソ連に飛ぶも様々な人々の思惑に翻弄される様を描いた伝記映画です。

世界中の老若男女を夢中にさせてきた言わずと知れた元祖落ち物パズルゲーム。そのシンプルさ故に相性の良い任天堂ゲームボーイでの発売にまつわる逸話を過去作でも実話や小説原作ものを評価されたジョン・S・ベアード監督で映画化した作品で、配給権を獲得したAppleが配信公開するとタロン・エガートンの演技中心に称賛を集めました。

ともすれば単調になる伝記映画ながら題材を活かしたゲーム映像への転換や時代性に着目してのスパイさながらのサスペンスに仕上げる工夫でキャッチーなあらすじで掴んだ関心を手放しません。それでいて主人公はアクションスターでなく言うなれば企業戦士と親しみ易く、現実的な高揚と現実離れした興奮とを上手く両立している一作です。
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