Renz

コヴェナント/約束の救出のRenzのレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
3.7
ガイ・リッチー作品ではあるものの、ガイ・リッチー味を封印して描いた真面目な映画。
思えばアラジンの監督もやってるし、いろんな味を出せる監督なのです。

やられたら10倍にしてやり返すのがアメリカ。
9.11の仕返しにアフガニスタンに向かうわけだけど、言葉の壁があるわけで、通訳が必要なわけで、中東でアメリカ人は目立つので現地人の通訳は便利なわけで、現地はタリバン支配で物騒なので通訳もアメリカに逃げたいわけで、ということでそれを利用して現地人通訳を雇い危険な任務に向かうわけです。

ジェイク・ギレンホール演じる主人公の部隊は敵の罠にかかり壊滅。主人公も大怪我をし動けず、通訳に助けられます。
途中気を失って目が覚めたら、そのままアメリカに帰っていた主人公。助けてくれた通訳はまだ現地に、何とか助けないと、とここまでは予告でも分かる範囲。

私はてっきり助けに行くところがメインだと思っていたんだけど、実はその前が結構長いのです。
通訳が、動けない主人公を敵から隠れながら100キロ以上先まで引きずりながら、抱えながら、命がけで運んで行くシーンがしっかり描かれます。
主人公はその姿が目に焼きついて離れず、夢にも出てくるようになります。セリフにもあるように、もはや呪いともいえる状態です。

この物語はアメリカ軍が手を引いたため、またタリバンの支配下にあるアフガニスタンに置いていかれた、いまだ逃げ隠れしている通訳たちがいることを忘れるな、というメッセージが込められている映画です。

命の危険のある中、タリバンに裏切り者扱いされる中、手助けしてくれた現地人通訳たち、彼らに恩返ししなくていいのか。

決して忘れてはいけないことです。
Renz

Renz