あかぬ

ミツバチと私のあかぬのレビュー・感想・評価

ミツバチと私(2023年製作の映画)
2.5
夏休み、フランスからスペインにある母・アネの実家へとやってきた一家。
アネの子どものココ(バスク地方では“坊や(坊主)”を意味する)は、男性的な名前“アイトール”と呼ばれることに抵抗感を示すなど周囲からの扱いを受け入れることが出来ず、自身のジェンダー・アイデンティティをめぐって思い悩み心を閉ざしていた。 叔母が営む養蜂場でミツバチの生態を知ったココは、ハチやバスク地方の豊かな自然に触れることで心をほどいていく。
ある日、自分の信仰を貫いた聖ルチアのことを知り、ココもそのように生きたいという思いが強くなっていくのだが……というお話。

自分の名前を変更したトランスジェンダーや、ノンバイナリー、ジェンダークィアといった人々の、変更以前の出生時につけられた名前を本人の合意なく使う事をデッドネーミングと言うのだそう。作中でココは男性的な名前やあだ名で「呼ばないでほしい」と訴えますが、ココのように呼んで欲しい名前がまだ定まっていないような場合でも、ジェンダー違和を訴える相手を傷付けないように周囲が本人の考えに理解を示し、配慮することが必要。

ジェンダー・アイデンティティを扱った作品で、メッセージ性もありキャラクターの造りも決して雑なわけではない、主演の男の子の演技も素晴らしい、しかし起こる事象のひとつひとつがあまりにも淡々とし過ぎていて128分がとても冗長に感じてしまった。この映画を観たことで、多くの人がトランスジェンダーや、ノンバイナリー、ジェンダークィアの人々の存在を知り理解すること、またはそれぞれができることや自身の性自認について熟考するよい機会になりうるだろうとは思うが、ひとつの作品として良かったかと問われるとうーんといった感じ。
個人的にはあまりサッパリさせてくれない終わり方だったなあ…。
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