ねーね

ミツバチと私のねーねのレビュー・感想・評価

ミツバチと私(2023年製作の映画)
3.4
夏休みにフランスからスペインにやってきた家族、そして自分の性自認がわからず混乱している8歳の末っ子、アイトールのお話。
きらきらの自然光が画面越しでもまぶしく伝わってきて、演出のつくりもあってかまるでドキュメンタリー映画のようだった。

バスク地方の美しい自然や、養蜂場でのハチと叔母とのふれあいを通して、アイトールは自分自身について深く深く考え続ける。
自分は女の子な気がしていても、周りから押し付けられる自分は「男の子」で、なぜそうなのかがわからず自問を繰り返す。
私だって、中学生の頃ですら自分の性や人間性というものが不安定でこんがらがっていて、いつも正解を探っていたような気がする。
たった8歳、迷うこともあるだろう。
だから母親が「まだ子供だから」と思ってしまう気持ちもわかる、けど子供は子供なりにちゃんと考えているものだ。

主演のソフィア・オテロはベルリン国際映画祭で最年少の受賞を果たしたが、確かにあまりに演技が自然で繊細に見えて、どうしてこの年齢でこんな表情ができるのだろうと思った。
(しかし、ソフィア君なのかと思っていたが、よくよく調べると女の子が「女の子になりたい男の子」を演じていたのだな。それってどうなんだろうと思う自分もいる)

正直映画としては要素が多く、母親自身の仕事や生活への葛藤まで詰め込むと焦点がブレる感じはした。
ただ、ラストシーンで兄や母が「ルチア」を必死に呼んで探すシーンは泣けた。
どんなことがあっても、どんなに喧嘩してわかりあえなくても、家族なのだと思った。
アイトール、ココ、そしてルチアに幸せになってほしい、ただその一心。
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