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コット、はじまりの夏のtorumanのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.1
元々観る予定ではありませんでしたが、フォロワーさん達の高評価に背中を押されての鑑賞です。

寡黙で内気である為に、学校でも家庭でも孤独を感じている9歳の少女コットは、夏休みを親戚夫婦のキンセラ家のもとで過ごす事に…

長編映画デビューとなるコルム・バレード監督は、子供や家族のドキュメンタリー作品を中心に撮り、数々の賞を受賞してきたようです。

コットを優しく包み込む木漏れ日。
何処までも広い景色の中、足元にピントのあった田舎道。
郵便物を取りに走る時の、コットの生き生きとした表情。

コットが寡黙であるという設定を活かし、言葉の説明よりもスクリーンでの表情や風景から読み取らせる素晴らしい演出。
美しい映像と相まって、これぞ映画です。

余白は多いが、高度な考察を要求するのではなく、観客にちゃんと理解させ、更に心を揺り動かせる造りなのも凄いです。

主人公コット役のキャサリン・クリンチ。
コットが抱えてきた諦観から、キンセラ夫婦と生活する事で、次第に生きる喜びにあふれていく様を、繊細な演技で見事に表現しています。

何処までも慈愛に溢れた叔母、ぶっきらぼうな様子から次第に心を通い合わせる叔父。
コットとの交流により変わっていく様子が、さりげなく繊細に描かれていきます。

思い出すだけでじわじわきます🥲

優しさに溢れた傑作。
観て良かった…
ラストは涙涙でした。
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