いち麦

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男のいち麦のレビュー・感想・評価

5.0
キング牧師の歴史的演説で知られる人種差別撤廃を訴えた1963年のワシントン大行進。この米国史上最大の平和的抗議集会を計画し実現させた活動家バイヤード・ラスティンを描いたドラマ。まるで当時の現場に居合わせているかの様なリアリティ溢れる描写が素晴らしい。差別撤廃の公民権法成立を控え、ラスティンを誹謗中傷したり彼の活動を妨害する者たち多数。同じ理想を掲げている筈のNAACP(全米黒人地位向上協会/全国有色人種向上協会)が当初は足を引っ張りラスティンを引き摺り下そうとしていたのが興味深かった。イライアス・テイラーとのやり取り、心配そうなトム・カーンを挟んだ三角関係など、彼のゲイとしての側面もしっかり描かれていて良い。自ら集会が終わった後、余韻を味わうように会場のゴミ拾いをするラスティンの姿に胸が熱くなった。
ラスティンを演じたコールマン・ドミンゴはアカデミー賞主演男優賞ノミネート。オバマ前大統領夫妻も製作に名を連ねている。良作。
いち麦

いち麦