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ナイアド ~その決意は海を越える~のkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』
原題 Nyad 映倫区分 G
製作年 2023年。上映時間 121分。
64歳でフロリダ海峡を泳いで渡るという偉業を成し遂げたスイマー、ダイアナ・ナイアドの実話を映画化。
困難に挑戦する人々のドキュメンタリーを多く手がけてきたエリザベス・チャイ・バサルヘリィ&ジミー・チンの夫婦監督が、初めて劇映画でメガホンをとった。
名優アネット・ベニングがダイアナを演じ、ボニー役はジョディ・フォスターが担当。
Netflixで2023年11月3日から配信。
それに先立ち10月20日から一部劇場で公開。

マラソンスイマーを引退して約30年が経ったダイアナ・ナイアド。
60歳を迎えた彼女は、ずっと思い続けていたひとつの挑戦が頭から離れなかった。
それは『水泳界のエベレスト』と呼ばれるフロリダ海峡を横断するというものだった。
フロリダ海峡にはサメや毒クラゲの恐怖や、激しい湾流などもあってオーシャンスイムの最難関とされ、そこを泳ぎ切るには想像を絶する困難を乗り越えなければならない。
それでも世界初の称号をかけ、サメよけのケージも使わずに生身で泳ぎ切ることを決意したダイアナは、親友でありコーチでもあるボニーらとともに4年に及ぶ波乱に満ちた挑戦に乗り出す。

今作品では名優アネット・ベニングはダイアナ・ナイアド役で威勢がよく、険しい目つきの獰猛さを発揮し、彼女の自己顕示欲とナルシストな傾向をよく示していた。
ナイアドの鉄壁の能力感覚は、エリート陸上競技での成功に欠かせない。
しかし、ノーメイクで濡れた乱れた髪、水着や色あせたTシャツといったダイアナ・ナイアドの描写は、美しき女優とはほど遠い。
ジョディ・フォスターが演じるボニー・ストールは、ナイアドの人生において、そのキャラとの自然な相性の良さが際立っていた。
2人の女優は深く複雑な絆を生み出し、観る者に2人の関係の深さと複雑さを感じさせてくれる。
ジョディ・フォスターの輝きは説得力があり、彼女の役を楽しいものにしていた。
ジョディ・フォスターは、リス・エヴァンスが登場するまでは、ダイアナの不愉快な振る舞いを罵倒する役で、リス・エヴァンスの軽妙な世界観もよかった。
今作品は、1970年代から1980年代にかけて有名になったオープンウォータースイマー(⽔質、天候、潮汐等、⾃然条件の影響を受けることから、競泳とは異なる技術や知識が必要とされる、海や川・湖といった⾃然の⽔の中で⾏われる⻑距離⽔泳競技)、ダイアナ・ナイアドの『対岸へ。オーシャンスイム史上最大の挑戦』(原題:Find a Way)の実写化伝記映画。
その強さと持久力で知られるダイアナ・ナイアドは、中年後期には人気スポーツキャスター、モチベーショナル・スピーカー、のちに作家となった。
彼女は1975年にマンハッタンを泳いで名を上げ、4年後にはバハマからフロリダまで泳いだそうだ。
今作品は、スキューバダイバーになることを目指した64歳のダイアナの旅を追った映画でした。
今作品は、2013年に彼女が目標を達成するために耐えた、激しいトレーニング、失敗、内面の葛藤、肉体的な挫折を描いていた。
また、風、水、天候、海の生き物が重要な役割を果たすダイアナの世界を効果的に描いている。 観てる側を彼女のトレーニング、船酔い、幻覚、ハコクラゲの体験、過去のトラウマのフラッシュバックの渦中に置くことで、サスペンスを構築し、不可能と思われる状況にもかかわらず、成功しようとする彼女の強迫観念と決意を説明している。
主演はアネット・ベニングやけど、フォスターの物静かで派手さを感じさせない直感と、スクリーンを魅了するカリスマ性によって、ボニーはこの映画の中心的存在となっている。
フェミニスト的であるにもかかわらず、今作品は忍耐、自己信頼、そして愛される方法を学ぶことを称賛しているし、あらゆる姿の女性の美しさを讃えているって云っても過言じゃないかな。
余談ながら、今作品は、ダイアナ・ナイアドの記録的な泳ぎがセンセーションを巻き起こした1970年代ではなく、1960年代が舞台となっている。
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