昼寝

二人の息子の昼寝のレビュー・感想・評価

二人の息子(1961年製作の映画)
5.0
マジにしんどいが傑作の中の傑作だと思う…ハネケも目ではないくらい鬱屈とした映画でほんとにしんどかった…。マンションの階段の上り下りだけで長男だけが家族の中で違う階級に生きることをスマートに示す縦移動撮影から始まり、脚の悪い父を気にかけるそぶりもなく早足で歩く宝田明、冒頭のこの5分だけでもスマートなショットが詰まっているがそれ以上になんともいえない不穏さが漂っている。宝田明のマンションの階段を撮る縦移動撮影は両親が彼を訪ねて階段を「登る」動作と、ラストシーンの反復で2回リフレインされる。女といちゃいちゃしていてよそ見していた加山雄三が起こしてしまうド派手な自動車事故、ストーカーと化したかつての恋人に追われての凄惨な列車事故、ショッキングな事故を逃げることなくしっかり撮る、ちゃんと見せる。千葉泰樹すご〜〜。自殺を試みる夫を妻が止めるシーン、妹の通夜に来た長男を弟が追い返すシーン、グロテスクだがすげえ…と息を呑むシーンばかり続く。最後はわずかな希望とともに終わるが、それでは何の慰めにもならないほど陰鬱陰惨な内容、それでいてめちゃくちゃ面白くてどうしたらいいかわからない、二度と見たくないがすぐにでもまた見たい。
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