死刑宣告されても大金払えば自分のクローンを作ってもらって身代わりにできる…
その制度に甘んじて犯罪を繰り返すエログロスリラー。
正直このクローン身代わり制度が採用される事にメリットが感じられず、ただ奇抜な設定にしたかっただけの出オチでしかないのは否めない。
その意味でのリアリティを無視すれば、当事者が裁かれない事によって機能しなくなる罪悪感と償いで暴走する悪意は強烈でスリリング。
ただ話が進むにつれ本作は司法を題材にした人間ドラマではなくなり、監督自身の苦悩を自分語りするかのようなオナニー映画となってしまう…
名の知れた父を持つ息子。
得られぬ正当な評価と押し寄せるプレッシャー。
それでも自分の生い立ちと向き合い、苦しくも作品を作り続けるぞ…!
…というのを見せたかったのかな?
そうなってくるといよいよ死刑云々の話があってないようなモノになり、ドラマ性が消滅してどうでもよく感じてしまった。
この手のアート映画にしてはテンポ良く話が進み、難解というほどでもないちょうど良いアート表現で、尚且つ展開に起伏がしっかりあるので退屈する事なく観れたのはとても良かったです。