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プチ・ニコラ パリがくれた幸せのkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『プチ・二コラ パリがくれた幸せ』
原題 Le petit Nicolas: Qu'est-ce qu'on attend pour etre heureux?
製作年 2022年。上映時間 86分。
映倫区分 G
フランスで50年以上にわたって愛され続ける児童書『プチ・ニコラ』を初めてアニメーション映画化。
親友同士でもある原作者2人の波乱に満ちた人生に『プチ・ニコラ』の物語を交え、ノスタルジーと創作の喜びに満ちた作品として描き出す。
原作のイラストレーターであるサンペがグラフィッククリエイターとして参加。
2022年アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞にあたるクリスタル賞を受賞した。

パリの街にある小さなアトリエ。
イラストレーターのジャン=ジャック・サンペと作家のルネ・ゴシニは、ニコラという少年のキャラクターに命を吹き込んでいた。
いたずら好きなニコラがクラスメイトたちと織り成す愉快な日々を描きながら、サンペは自分が得られなかった幸せな少年時代を追体験していく。一方、物語に最高の楽しさを与えるゴシニも、ある悲劇を胸に秘めていた。ニコラの存在は、そんな2人を固い絆で結びつけていく。

原作のプチ・ニコラ(絵本)は、甘いが愚かではなく、お人好しで気さくやけど、遊び心がある。
日本人では馴染みが薄いかも知れないけど、ヨーロッパ、特にフランス圏の多くの子供たちが成長する過程で付き合ったものと云える。
小生も幼少期に海外で育った故に、少からず恩恵は受けてるし懐かしく鑑賞しました。
今作品は、単なるニコラの災難の再話ではなく、実はオリジン・ストーリーと云える。
また、CGアニメーションに馴れた今の子供たちにはまったく理解できないかもしれない。
フランス文学(絵本)の中で、何世代もの読者に夢を与えてきたカルト的なキャラと云えば、リトル・ニコラ。
1956年から1965年の間にルネ・ゴシニ、作画:アルベール・ユデルゾとともに(代表作『アステリックス』も創作)執筆し、ジャン=ジャック・サンペが挿絵を担当した物語のほとんどは、8つの作品集に222編以上収められている。
これらの短編は、少年ニコラの家族、学校、さまざまな休暇先での冒険を描いている。
これらの短編集の大成功により、何世代もの読者が、このオフビートな世界を発見し、彼の冒険を読み、いつかこのキャラの楽しみを見つけたいと願うほど好きになる。
もちろん今作品も少年ニコラ作品に変わりないし興味を持った。
ただ、不滅の記憶を残す作品かと問われたら黙るかな。
今までに少年ニコラを描いた映画であれ、アニメシリーズであれ、これらの多かれ少なかれ成功した試みはすべて、この宇宙とも云える(云いすぎかな笑)の抗いがたいトーンを映画やテレビに移すことに成功していない。
少年ニコラの世界にどっぷり浸かりたかったが、時間とともにその希望は薄れていった。
しかし、今作品は、『リトル・ニコラ』の愛読者の多くが待ち望んでいたもの、それ以上のものであるのは確かと云える。
今作品では、愛すべき宇宙が我々の目の前で本当に生き返るだけでなく、何よりも、絵本と児童小説の世界を永遠に変えた2人の純粋な天才、原作者ルネ・ゴシニとジャン=ジャック・サンペの友情が惜しみなく描かれている。
最近アヌシー国際アニメーション映画祭でクリスタル賞を受賞したこの純粋なアニメーションを見るとき、目の前で描かれるリトル・ニコラの短編を見るが、何よりも、この2人の偉大な文学者の出会いと長い友情について知ることになる。
二人の共同作業は、子供たちが世界を見てきた方法を天才的に書き写すことに成功した。 
それは、仲間同士の友情であり、学校での仕事であり、女の子たちとの最初の出会いであり、これらの小説ではすべてがとても正しく、詩的な方法で聞こえる。
ルネ・ゴシニとジャン=ジャック・サンペの紛れもない相補性が、ここでは実に懐かしく描かれており、何よりも彼らがどのように彼らの世界、ニコラの名前、彼の家族、彼の学校の友人を創造したかをよりよく理解することができる。
短い上映時間にもかかわらず、懐かしさも相まってか泪すらでた。
特に年齢に関係なく、子供時代に見たり読んだりした物語に再び飛び込んでみたいという願望を抱きさえした。
『アステリックス』の物語が同じ喜びをもって読み返すことができるのと同じように、物語の普遍性と時代性が、これらの絵本がその強さを保ち続けている理由の一部である。
今作品はまた、創作過程を実に知的に扱っており、文章と絵の組み合わせの重要性が、いかに『リトル・ニコラス』の世界を多くの監督や俳優のインスピレーションの源にしてきたかを物語っている。
今作品は、日本やアメリカの大手アニメスタジオのアニメーションのレベルに合わせることを望むのではなく、リトル・ニコラの絵本の絵に近づくという、危険な賭けに出てる。
その結果、印象的なノスタルジック効果が生まれ、ルネ・ゴスニの早すぎる死が扱われるなど、時に非常に悲しいものでもある。
ルネ・ゴシニとジャン=ジャック・サンペが美しい普遍的で忘れがたい物語を創り上げたように、それを取り巻く魔法と、そこから私たちがどのように引き出せるかを知るには、今作品に耳を傾ける、耳じゃないなぁ目を向ける、ちゃうなぁ見定める!!だけで十分なの作品と云えるかな。
なんか良くわからない感想になり🙇。
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