このレビューはネタバレを含みます
想像力、という言葉を反芻しながら映画館をあとにした。ジブリならではのイマジネーションの世界に、人間の精神世界と宗教世界が溶け合ってとても滋味深かった。
他作品をアナロジーとして用いるのはよろしくないとはわかりつつ、「和製ソウルフル・ワールド+和製ナルニア国物語+戦時中ブレイブ・ストーリー」にエッセンスとしてドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「メッセージ」や市川拓司原作の「いま、会いにゆきます」で扱った母の愛要素が加えられていると感じた。
また、人間の潜在意識や仏教でいう六道の概念も組み合わせられている気がして、考察が楽しい。
すべてが語られない、監督の好きや描きたいを先行した作品はやはり好ましい。
石で自傷する眞人のやるせなさと孤独に、胸がきゅっとなった。彼の父親や新しい母親含め、一筋縄で形容できない人物像がとても魅力的だった。口調・ものいい、仕草や目線などで、直接的でなく間接的に各々の個性を描こうとしてる点も好きだった。
別の「わたし」はどの扉の世界で生きてるのかな、なんて柄にもなく思ったりした。
「あばよ、友達」