いち麦

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜のいち麦のレビュー・感想・評価

3.0
劇場版31作品目。いよいよ3DCG版発進。クレしんに登場するキャラクターたちはもともと目の白い部分がないのが特徴で、それをそのまま今作の目玉と謳っている(?)3DCGで作るとどうなるか。これ、何だか塩ビ製の空気人形を膨らませてマジックで目鼻をササっと書き加えたようなチープな質感と造形になった(笑)。確かに新鮮に見えるが好き嫌いが分かれそう。
さて、しんのすけはいつもの如く最終対決する悪玉キャラを殺してしまうのではなく相手の精神的な歪みを修正することで成敗する。如何にして正すかが毎度の課題だが、今作では存分にファンタジー的な映像演出で胸熱の見せ場となっており、これはこれで良かった。ラスボス的なキャラクターの造形がまた相当に気色悪くてイイ。他方、現代社会の暗さや不透明感を認めつつもそれを精神論で乗り越えようと訴える着地は安直で芸が無く拍子抜け。
一家団らんの象徴でもある手巻き寿司ネタでは飛ばし方を含めもっと楽しいアニメーションや笑いが色々作れたのではなかったか。しんのすけや野原一家の繰り出すお約束のようなギャグももう流石に大人は笑えない(ちびっ子たちはいつものようにこれら幼児向け下ネタに劇場で大笑いしていたに違いない)。ただ、周囲のキャラクターたちがそこはかとなく噛ます小ネタには情けないことにいつも通りそこそこ自分は笑えてしまったが。いやまさか非理谷充なる悪玉キャラの声当てが松坂桃李だったとは気づかなかった。言われてみれば顔の輪郭線や口もとが松坂桃李に似ていなくもないな。
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